学名とは
                               2003年3月7日 金曜日   

1.学名はラテン語で記述されます。
  学名scientific name。学術的目的で使用されるように作った分類群の名称。

  このラテン語ってローマ帝国時代の言葉がベース(?)で、ローマ帝国崩壊と共に使われなくなった。
  日本で言う漢文(古語)のようなもの? 欧米ではラテン語の授業がある。

  ローマ帝国崩壊と共に、このラテン語は分化を始め、10世紀頃には多くの方言ができていった。
  今のスペイン語(カステーリャ語)、カタルーニャ語、ポルトガル語、フランス語、プロヴァンス語、
  イタリア語、スイスのレト・ロマンス語、ルーマニア語なんかのロマンス諸語に派生していった。

    カミキリで使われるラテン語
      Prionus   のこぎり
      Rhagium  小さな蜘蛛
      Rufescens 赤色を帯びた
      Thranius  オールまたは舟の漕ぎ手
      Mutata   中間雑種の意

2.付けられた名前は世界で唯一の名前となる。万国共通の名前となる。

 分類群の名称で学名でないものはすべて俗名である。
 俗名vernacular nameとは分類群の名称であって学名ではないもの。
 したがって,和名や英名は俗名である。
 学術目的の文章中に分類群名を書き記すとき,地の文が日本語であれば分類群名も和名で記すのが普通だが,           
 その和名が最初に現れる箇所で学名を併記するのが慣例である。
 
3.学名は初めが属名、次が種名、次が命名者、命名年号が基本とする。

   スウェ−デンの植物学者リンネ博士の2名法をベースに「国際動物命名規約」で
   ルール化されている。

   リンネ博士は動植物の標本をたくさん集め,生物分類の体系をつくった。
   また,生物名を世界共通の学名で表すため,属名と種名をラテン語で表す二名法を
   考案して分類学を大成させた。

4.亜属は( )で属名の次につける。

5.亜種は種名の次につける。

6.命名者に( )がついているのは属の所属が変更になったことを表す。

7.学名は常に変わる。
   新種記載、属の移動、属の統合などにより変更される。

8. タクソンtaxon, pl. taxa。分類群。
    動物命名法では,命名法の構造を単純化するために,便宜的
    にタクソンを5つのカテゴリーに分けて,それぞれについてさまざまな規定を設けて
    いる。そのカテゴリーとは,種と亜種の階級にあるあらゆるタクソンの集合である種
    階級群,属と亜属の階級にあるあらゆるタクソンの集合である属階級群,上科,科,
    亜科,族,亜族の階級にあるあらゆるタクソンの集合である科階級群,および科階級
    群よりも高い階級にあるもの,および亜種よりも低い階級にあるものである。

9. 異名synonym。シノニム。同物異名。
    同じタクソンに与えられた複数の学名のそれぞれのこと。
    客観異名とは,同一のタイプに基づいた複数の学名のそれぞれのことであり,
    主観異名とは,別々の名義タクソンがひとつの分類学的タクソンに含まれると考えたとき,
    それぞれの名義タクソンに与えられている学名のことである。
    分類学的タクソンの有効名は,異名のなかでもっとも古いものである。
    複数の学名が互いに異名であるとき,それらの関係あるいはそういう状態を「異名関係」,
    「異名状態」(synonymy)とよぶ。

10. 同名homonym。ホモニム。異物同名。
   別々のタクソンに与えられた同じ綴りの学名のこと。もっとも古いものだけが有効である。
   種階級群の同名には,一次同名と二次同名のふたつがある。
   一次同名とは,あるひとつの名義属に結合して設立された種階級群名のなかの同じ綴りのものである。
   若い方の同名は,永久に無効である。
   二次同名とは,別々の名義属に結合して設立された同じ綴りの種階級群名が,後になって同一の属に置かれたときの同名である。
   この場合,それら種階級群名が同じ属に置かれている間は,若い方は無効である。
   複数の学名が互いに同名であるとき,それらの関係あるいはそういう状態を「同名関係」, 「同名状態」(homonymy)とよぶ。
      
11.ホロタイプ:holotype。
    完模式,原記載時に原著者がただ1個指定した標本。
    原記載時に明示的に指定されなくても,原記載が標本1個のみに基づいたことが明白であれば,その標本もホロタイプである。
    

12. パラタイプ:paratype。副模式,副模式標本,従基準標本。
    原記載でホロタイプが指定された場合,タイプシリーズの中のホロタイプを除いたあらゆる標本(のそれぞれ)。
    担名機能はなく,かりにホロタイプが失われた場合であっても「シンタイプとして担名機能を自動的にもつ」ようなことはない。
    しかし,命名者本人が原記載に利用した標本であるという点で,ネオタイプを指定するときには優先されて然るべき標本である。

13. シンタイプ:syntype。
    原記載で複数の標本が使用されており,しかも,ホロタイプが指定されていないときは,
    それら標本の各々がすべてシンタイプである。シンタイプは全体で1個の担名タイプを構成している。
    しかし,シンタイプに複数種が含まれていることが明らかになった場合などは,担名機能をシンタイプのうちのただ1個の標本に
    限定することができる。
    そうして選ばれた標本はもはやシンタイプではなくレクトタイプとよばれ,選ばれなかった標本もシンタイプであることを終了し
    パラレクトタイプになる。

14.レクトタイプ:lectotype。
    シンタイプの1個だけに担名機能をもたせ,ほかのシンタイプから担名機能を剥奪することができる。
    その場合,選ばれたシンタイプ1個は“レクトタイプ”とよばれるようになり
    選ばれなかった残りのシンタイプはすべて“パラレクトタイプ”になる。

15. ネオタイプ:neotype。
    担名タイプが存在せず,担名タイプの存在が不可欠である事態で指定する1個の標本。
    担名タイプが現存していても,それが同定の用をなさないときには,審議会が強権でネオタイプを指定することがある。
    動物命名法では,担名タイプが失われたときも,同定の用をなさないために別の標本に担名機能を与える場合も
    区別せずに用語“ネオタイプ”を用いる。
   

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