クロナンキ 〜ツルギセダカコブヤハズ室戸地域変異〜

真部永地(eichan

徳島県那賀町   2011.10.01幼虫採取

                        2012.06.03羽化

 

20117月、いつものびおすけさんを通じて知り合ったぷよんぷよん星人さんと、

メールでコブ情報を交わしていて、秋に一緒に四国南東部(室戸地域)へ行くことになった。

目指すは、徳島県と高知県の県境に近いU山。

びおすけさんの言葉を借りれば、妖怪マンガに出てきそうな名前の山。

地元では「酷道」と呼ばれる、林道に毛の生えた程度の名ばかりの国道を登った峠に登山口があるらしい。

9/30の夕方に阿南の駅前でレンタカーを借りて、ぷよんぷよん星人さんと落ち合い、翌日の成果を祈願して乾杯。

早朝というより夜中に出発して、太平洋岸から酷道を登ると、峠は広く十分な駐車スペースが確保されていた。

峠の広場から登山道に一歩入ると、頂上まで行かなくてもコブが居そうな照葉樹林。

期待が高まる。

 

登山道は、尾根筋の緩やかな行程の筈が、一歩間違えば谷底に落ちそうな急斜面に張り付くトラバースになった。

どこかで間違えたらしい。

 

ワイヤーで吊るされた足場が朽ち果てていた。

 

何とか尾根道に戻り頂上が近付いてくると、細いながらもキノコがびっしりと付いたカエデの倒木があった。

成虫が採れなかったら、この材を削ろう。

 

900頂上直下の北斜面に着いたが、成虫が潜んでいそうな枯葉が見つからない。

昼過ぎまで適当に材を削ることにした。

それなりにカミキリの幼虫は出てくるが、どうもコブらしいのがいない。

ぷよんぷよん星人さんは、良さそうな材を見つけてコブらしい幼虫を3つ削り出したらしい。

 

1330そろそろ下山の時間。

途中のカエデを少し削ってみることにした。

倒木から折れたらしい地面に落ちた枝を削ってみると、次々とカミキリの幼虫が出てきた。

その中には、コブっぽいのもいた。

 

 

帰りは間違わずに尾根道を下った。

尾根道の脇にも良さそうな材がたくさん転がっていた。

 

尾根道からは、山並み越しに太平洋に浮かぶ島々も望むことができた。

 

帰宅後に確認すると、コブらしい幼虫は3頭だった。

菌糸カップの上に置くと3頭とも中に潜っていったが、一番小さな1頭は1週間ほどで動かなくなった。

 

2011年の暮れ、ぷよんぷよん星人さんから早くも1頭が蛹になったと連絡が来た。

年が明けて、1/8に菌糸カップの交換を行った。1頭はミイラになっていた。加湿しすぎが原因らしい。

 

残った1頭のお顔(胸部背板)をGENKAさんにも確認していただいた。

着色の薄い凸型に縦溝の模様と両脇の縦溝、コブの幼虫で間違いないらしい。

冬眠させた方が大きく育つとアドバイスを戴いたので、新しい菌糸の中に入っていくのを確認して、

家の中で一番室温の低いウォーキンクローゼットの中に移動した。

 

photo by Y. Miyakawa

1/25ぷよんぷよん星人さんから♀羽脱の連絡。

うちのは♂にならないかな〜

 

5/19うちのクロナンキもようやく蛹になった。

そして6/3、ついに羽化!

うちのも♀だった。体長は21.5mm。大きく育ってくれた。

羽化直後でもエリトラは真っ黒だ。コブも左右に張り出し、クロナンキの通称が相応しい。

 

6月には再挑戦して、♂を採りたいものだ。

 

ツルギセダカコブヤハズとは見た目が随分と異なるので、別亜種とするべきではないかとT先生に相談したが、

別亜種とするのは難しいとの回答だった。

地形的な障壁がなく、連続的に変異している可能性が高い。

遷移帯の調査もしてみたいところだ。

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